日本心臓血管外科学会雑誌
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[大血管]
破裂性腹部大動脈瘤に対する Amplatzer Vascular Plug を用いた Plug Attachment Technique(PAT 法)の1例
森田 雅文吉井 康欣東 修平真野 翔
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2017 年 46 巻 5 号 p. 267-271

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抄録

今回われわれは,破裂性腹部大動脈瘤をAmplatzer Vascular Plugを破裂口に塞栓した上で,ステントグラフト内挿入術(EVAR)を施行する,Plug Attachment Technique(PAT法)で治療し得たので報告する.症例は84歳女性.パチンコ店にてパチンコに興じていた際,突然の意識消失により転倒され,当院に救急搬送される.来院時はショックバイタルで意識障害を伴っており,腹部超音波にて腹部大動脈瘤の破裂の診断にて大動脈造影CTを施行した.大動脈造影CTでは90 mm大の破裂性腹部大動脈瘤(Fitzgerald III型)を認めた.ただちに緊急手術を施行した.Amplatzer Vascular Plugを破裂口に塞栓した上でEVARで治療した.総手術時間は158分であった.術後最大膀胱内圧は18 mmHgであり,腹部急性コンパートメント症候群等合併症を認めることなく術後経過は良好で,術後30日目に独歩退院となる.破裂性腹部大動脈瘤に対する緊急EVARの有用性については,本邦においても十分認識されるようになった.EVARの即効性は,緊急を要する腹部大動脈瘤の破裂という病態には最大限の効果が期待できる.その一方で,急性コンパートメント症候群の合併,type 2エンドリークによるEVAR後の破裂口を通じての出血の持続等,EVAR後に開腹手術を追加せざるを得ない病態,救命できない病態も同時に経験する.今回われわれの施行した,Plug Attachment Technique(PAT法)は,破裂性腹部大動脈瘤に対するEVARの効果をさらに確実にする有用な方法である可能性があり,報告する.

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