2018 年 47 巻 4 号 p. 170-173
症例は51歳男性.2日間の頭痛と不眠を主訴に救急外来を受診した.6年前に急性大動脈解離に対して上行大動脈人工血管置換術を施行された.大動脈弁閉鎖不全による心不全の診断で当院循環器内科入院となった.入院加療にもかかわらず心不全の増悪を認め,入院時の経胸壁心エコー検査では認めなかった大動脈交連部の結節影を第2病日の経食道心エコー検査で指摘された.感染性心内膜炎が疑われ,準緊急で手術の方針となった.術中所見では左冠尖と右冠尖の間の交連部の断裂を認めた.病理検査と培養結果でも感染を示唆する所見は認めなかったが,粘液腫様変性を認め,本症例における交連断裂の原因と考えられた.