日本心臓血管外科学会雑誌
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[大血管]
三腔解離により急速拡大した B 型慢性解離性大動脈瘤に対して TEVAR を施行したマルファン症候群の1例
西山 正行清家 愛幹井上 陽介上原 京勲佐々木 啓明松田 均
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2021 年 50 巻 2 号 p. 133-136

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抄録

84歳,女性.マルファン症候群と診断されており,濃厚な家族歴を有していた.59歳時に大動脈弁輪拡張症に対するBentall手術,80歳時に急性B型大動脈解離を発症し,以後,腹部大動脈置換術,全弓部置換術を施行されていた.84歳時に背部痛をきたし,近位下行大動脈に生じた新たな内膜亀裂による三腔解離と急速拡大を認めた.症状が持続し,高齢であることから,ステントグラフト内挿術(TEVAR)によるエントリー閉鎖を施行した.術後CTで偽腔内への順行性の血流は認めず,両腔吻合されていた腹部人工血管置換術の中枢側吻合部からの逆行性血流を認めるのみであった.術後4年の現在,下行大動脈の拡大は認めていない.マルファン症候群患者に対するTEVARの適応は限られるが,高齢患者の場合には選択肢の1つになりえると思われた.

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