日本心臓血管外科学会雑誌
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[先天性疾患]
乳児期に手術を行った右冠動脈肺動脈起始症の1例
細谷 祐太久呉 洋介川人 智久吉田 誉下江 安司
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2022 年 51 巻 3 号 p. 138-141

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抄録

右冠動脈肺動脈起始症(ARCAPA)は稀な先天性冠動脈異常で,幼少期の報告は限られている.左冠動脈肺動脈起始症(ALCAPA)と異なり,ARCAPAは基本的に無症状で経過し,偶発的に発見されることも少なくない.今回,新生児期にARCAPAが疑われた2カ月男児に対する手術症例を経験した.心雑音を契機に生後4日目に心臓超音波検査でARCAPAを疑い,生後37日目に心臓カテーテル検査で左冠動脈から右冠動脈を介して主肺動脈に造影剤が流入することを確認し確定診断した.肺血管抵抗低下に伴う心筋虚血が顕在化する前に手術加療を行う方針とし,生後2カ月で右冠動脈の大動脈への移植と,肺動脈のパッチ形成を施行した.合併症なく経過し術後16日目に退院した.術後半年で施行した心臓カテーテル検査で,右冠動脈の良好な造影と側副血行路の消失を確認した.

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