日本心臓血管外科学会雑誌
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[成人心臓]
開心術後に低心拍出状態に陥り,トランスサイレチン関連心アミロイドーシス(transthyretin-related cardiac amyloidosis)と診断された1剖検例
辻 庸宏西脇 登金田 幸三長阪 重雄
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2022 年 51 巻 3 号 p. 157-162

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抄録

症例は83歳男性患者.75歳以降,軽度から中等度の大動脈弁狭窄症兼閉鎖不全症にて外来通院中であった.大動脈弁狭窄症兼閉鎖不全症の進行と中等度の僧帽弁狭窄症兼閉鎖不全症および三尖弁閉鎖不全症を合併し,心不全による入退院を繰り返すようになったため手術を施行した.手術は待機的に大動脈弁置換術,僧帽弁置換術および三尖弁形成術を行い,術後経過は良好であったが術後6日目に突然低心拍出状態に陥り術後8日目に永眠された.術前術後を通して左室駆出率(Ejection Fraction : EF)は50%以上に保たれており,Heart Failure with preserved Ejection Fraction(HFpEF)であった.剖検後に免疫染色にてトランスサイレチンを同定しトランスサイレチン関連心アミロイドーシス(transthyretin-related cardiac amyloidosis : TTR-CA)と診断した.

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