大動脈炎症候群は原因不明の疾患で,心病変を伴うこともまれではない.心血管病変に対して積極的に外科治療を行ってきたが,術後遠隔期に3例のまれな合併症-1) Bentall術後のサルコイドーシス症,2)大動脈弁置換術+上行大動脈縫縮術後の全身アミロイドーシス,3) ACバイパス術+胸腹部大動脈間バイパス術後の全身ムコール症,を経験した.いずれも炎症のコントロールが不良で原因不明の発熱がみられ,ステロイドの投与を余儀なくされていた.3症例を呈示し,各症例の問題点を検討した.大動脈炎症候群自体が自己免疫疾患としてとらえられており,糖コルチコイド療法が加わることにより複雑な免疫の状況が考察された.本疾患の遠隔期に炎症のコントロール不良な症例,糖コルチコイドの長期投与を余儀なくされた症例はつねに他の合併症の可能性を考慮する必要がある.