抄録
低出力炭酸ガスレーザーを用い,容易・安全・迅速な細小動脈吻合の条件を確立する目的で,モルモットと家兎の総頸動脈を用い,110例のレーザーを用いた端端吻合(レーザー法)と25例の従来のmicrosurgery血管吻合(手縫法)を行い比較した.血管直径により至適レーザー出力は異なるが至適出力条件下で吻合を行えば80%以上の例で血流再開後も吻合部の血栓形成や離開もなく吻合が成功した.長期観察で動脈瘤様の吻合部拡張をレーザー法で認めた.この原因を探るため吻合部耐圧能を調べ,支持糸の数による耐圧能に差を認めた.経過観察中体重が1.6倍に成長した家兎の吻合部血管径は,レーザー法で121%,手縫法106%の増加率であった.吻合操作時間は,レーザー法,平均13分7秒,手縫法24分32秒であった.以上からレーザー法は手縫法に比し,多くの長所を有していると考えられた.