日本心臓血管外科学会雑誌
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心筋梗塞後合併症に対する外科治療とその遠隔成績の検討
磯村 正鈴木 重光久冨 光一犬塚 宏人平野 顕夫炊江 秀幸島田 昇二郎小須賀 健一大石 喜六
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1991 年 20 巻 6 号 p. 1065-1068

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抄録

心筋梗塞(MI)後合併症に対して外科治療を行った36例に対し,手術成績,遠隔成績を検討した.MI後の心室中隔穿孔(VSP)9例,左心室瘤形成27例で,MI後の臨床症状は複数の因子が存在し,運動能力が向上しないもの13例,心原性ショックおよび重篤な心不全10例,左室内血栓7例,不整脈(Lownの分類III度以上)6例,狭心痛の持続6例であった.手術は心室瘤切除のみ14例,VSPパッチ閉鎖術8例,瘤切除兼冠動脈バイパス術(CABG) 14例を行った.術後成績は3例を術後10日目,55日目,4年目に不整脈死と思われる原因で失い,術後の不整脈は予後因子として重要であった.遠隔成績不明な3例を除く30例中28例はNYHA I~II度に復し,良好な症状の改善を示した.5例に術後軽度の胸痛が存在し,残存冠動脈病変に起因するものであった.臨床症状が重篤で緊急手術を必要とする例でも可及的に術前冠動脈造影を行い,有意病変のrevascularizationを同時に行うことにより,術後急性期,長期予後の改善が望めるものと思われた.

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