日本心臓血管外科学会雑誌
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下肢閉塞性動脈硬化症に対する接触法によるレーザー血管形成術の臨床的検討
長田 一仁
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1991 年 20 巻 9 号 p. 1476-1482

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抄録

教室では,metal hot tip probeを用いたレーザー血管形成術の臨床応用を行っており,その方法,成績,適応,問題点につき検討した.症例は,下肢閉塞性動脈硬化症に起因する血管閉塞あるいは血管狭窄の34例40肢53病変で完全閉塞15肢15病変,50%以上狭窄病変25肢38病変であった.全病変における初期成功率は90.5%であった.血管部位では腸骨動脈領域91.6%,浅大腿動脈領域87.8%,膝窩動脈領域100%であった.閉塞病変と狭窄病変では,閉塞病変で66.6%,狭窄病変では100%であったが,両者た有意な差は認めなかった.また,閉塞病変に関しては,10cm未満の病変の初期成功率は71.4%, 10cm以上が62.5%であった.病変焼灼に要したエネルギー量をみると,閉塞病変焼灼に要したエネルギー量は狭窄病変に比べ有意に多かった.レーザー血管形成術成功肢35肢について,術前後のAPIをみると,閉塞病変,狭窄病変ともに術後に有意な改善を示した.また,レーザー血管形成術の単独群と他の血行再建術を同時施行した群では後者でより有意なAPIの改善を認めた.成功35肢の術後開存成績は,2~30か月(平均経過観察期間19.5±9.6か月)で77.1%(27肢)であった.以上より,metal hot tip probeによるレーザー血管形成術接触法は血行再建術として十分な評価を得られるものと考えた.

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