日本心臓血管外科学会雑誌
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三心房症の1治験例
青柳 成明原 洋田山 栄基安永 弘田中 攻明石 英俊小須賀 健一大石 喜六
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1991 年 20 巻 9 号 p. 1494-1497

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抄録

三心房症は,心房が異常な隔壁によって二分され見かけ上,三つの心房をもつ比較的まれな心奇形である.われわれは左型三心房症の1例を経験し,外科治療を行ったので文献的考察を加えて報告した.症例は25歳の男性で,断層心エコー図で左房内を上方から前下方へ曲線を描く異常隔壁を認め,この隔壁により左房は副左房と真左房に二分されていた.経食道的エコー図ではさらに明確に左房を二分する異常隔壁と,この隔壁の拡張期に僧帽弁側へ向かう動きを明確に認めた.肺動脈造影でも同様に左房を二分する異常隔壁を認めた.完全体外循環下に経心房中隔切開法により左房に達し,左房内異常隔壁を完全に切除した.各種心エコー検査は非侵襲的に異常隔壁を証明でき,本症の診断にはきわめて有力な手段であった.とくに,経食道的心エコー図では,より明確に異常隔壁を描出でき,確定診断が可能であった.

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