日本心臓血管外科学会雑誌
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膝窩動脈外膜嚢腫の1治験例
松山 謙田中 茂夫二宮 淳一浅野 哲雄小泉 潔川本 雅司大久保 直子庄司 佑隈崎 達夫
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1991 年 20 巻 9 号 p. 1502-1507

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抄録

膝窩動脈外膜嚢腫は,間欠性跛行をきたす下肢動脈疾患のなかでは稀な疾患であるが,治療のアプローチが他の疾患と若干異なり外科治療が著効するので術前診断が重要である,われわれが調べた限りでは本邦で40例の報告があるが,当施設で2例目を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は58歳男性会社員で16歳から35歳まで週3回の野球,42歳から週3回の3kmのジョギングというスポーツ歴をもつ,正座不能と200mの左下肢間欠性跛行を主訴に来院した.DSAにて左膝窩動脈に分節的狭窄を認め,膝窩動脈外膜嚢腫と診断し,硬膜外麻酔下に膝窩後方S字皮膚切開による手術を施行.左膝窩動脈の内側と外側の2か所に嚢腫を認め,穿刺にてゼラチン様内容物を採取後,嚢腫壁切除術を施行した.術後経過は良好で跛行は完全消失し,術後8週の血管造影では術前の狭窄は完全消失していることを確認した.

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