日本心臓血管外科学会雑誌
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胸腔内出血をきたしたレックリングハウゼン病の一例
守月 理小塚 裕竹田 誠登 政和進藤 俊哉
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1992 年 21 巻 3 号 p. 296-299

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抄録

症例は55歳の女性で全身皮膚にカフェオレスポット, 神経線維腫を認めるレックリングハウゼン病の患者である. 突然の左胸痛で発症し, 左血胸, ショック状態となり, 緊急手術を施行した. 左開胸にて下行大動脈両側の胸膜下に血腫があり, 血腫からの動脈性出血を認めた. 大動脈裏面の肋間動脈からの出血が疑われたが同定できず, アンスロンチューブでバイパス下に大動脈を遮断し, 下行大動脈人工血管置換を行った. 術前のショック状態, 大量輸血に起因すると思われる肝不全, 呼吸不全のため, 長期のICU管理を要したが, 術後5か月目, 元気に退院した. 切除した大動脈の病理学的検索では, 大動脈外膜への神経線維腫の侵潤および中膜弾性線維の走行の乱れが認められた. この血管病変により肋間動脈の自然破裂をきたしたものと推察された. レックリングハウゼン病に合併した自然動脈破裂例は自験例を含め19例であり, これらを集計して報告する.

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