日本心臓血管外科学会雑誌
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両側尿管圧迫により無尿をきたした非炎症性 (動脈硬化性) 巨大腹部大動脈瘤の一治験例
金田 幸三河内 寛治森田 隆一西井 勤井上 毅谷口 繁樹川田 哲嗣水口 一三福富 正明北村 惣一郎
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1992 年 21 巻 6 号 p. 575-578

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抄録

突然の無尿を発生した巨大腹部大動脈瘤の一手術例を経験した. 症例は71歳, 男性. 術前のCT写真にて, 最大径13cmの腎動脈下腹部大動脈瘤が発見され, これにより両側尿管が圧迫され無尿となったと考え, 緊急手術を行った. 開腹所見で, 瘤の破裂はなく, 周囲臓器との炎症性癒着もなく, 剥離は容易であった. 炎症性動脈瘤による尿管閉塞ではなく, 瘤による両側尿管の圧迫が発見され, 瘤切開直後より尿排出を認めた. 手術は straight Dacron グラフトによる人工血管置換術を行った. 左腎は無機能腎に陥っていたものの, 術後には右腎機能はほぼ正常にまで改善していることが, レノグラムにて確認しえた. 腹部CT写真, 術中所見, 摘出瘤壁の病理所見などから, いわゆる炎症性腹部大動脈瘤は否定された. 動脈硬化性腹部大動脈瘤による両側尿管の直接圧迫が本例の主たる病因であり, きわめてまれな一例と考えられた.

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