1993 年 22 巻 2 号 p. 73-76
大動脈-大腿動脈バイパス術 (Ao-F群) 18例23肢と腋窩動脈-大腿動脈バイパス術 (Ax-F群) 26例38肢を対象とした. 術前造影で大動脈の閉塞, 50%以上の狭窄または鋸歯状の壁不整は, Ao-F群の28%に対し, Ax-F群は75%と有意に (p<0.01) 多かった. 術後の ankle pressure index (API) はAo-F群が93±17%と, Ax-F群の71±18%と比べて有意に (p<0.01) 高かった. Ax-F群では, 末梢同時再建例のAPIは89±13%と, 非再建例の70±19%と比べて高い傾向 (p<0.1) にあった. 術後の重篤な合併症は, Ax-F群の3例にみられ, うち2例が死亡した. 遠隔期開存率はAo-F群が100% (術後平均4年6か月), Ax-F群が85% (同3年8か月) であった. 再手術は4例に行い, 術後平均2年で全例開存していた. 腸骨動脈領域の閉塞症では, 大動脈-大腿動脈バイパスが第一選択となる. High risk 症例では, 手術の安全性を考慮した幅広い術式の選択が必要である.