日本心臓血管外科学会雑誌
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冠状動脈入口部狭窄を含めたLMT病変に対する直達手術例の遠隔成績
諸 久永小熊 文昭名村 理上野 光夫斉藤 憲林 純一宮村 治男江口 昭治
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1993 年 22 巻 4 号 p. 334-338

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抄録

冠状動脈入口部狭窄を含めたLMT病変に対する直達手術後の遠隔成績を, CAGならびにトレッドミル所見から検討した. CAG上, LMTに90%以上の狭窄を呈した5例を対象とした. 病因は梅毒性2例, 動脈硬化性3例であり, これらに対して, LMT内膜パンチアウト法, 大動脈内膜剥離切除法, saphenous vein graft (SVG) パッチ拡大法を用いて, 直達手術を施行した. 大動脈内膜切除術を施行した1例を術後早期にLOS, MOFにて失ったが, 他の4例では, NYHA分類の改善と狭心痛の消失を認めた. 術後後期では, SVG拡大術を施行した1例に, 術後1年目のCAG上で狭窄が認められた. 他病死した1例を除いた他の2例は術後5年以上経た現在でも, 胸痛もなく, 社会生活を営んでいる. 以上から, 適応に留意することによっては, LMTへの直達手術にても, 良好な遠隔成績が得られうると考えられた.

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