症例は2歳6月, 女児, 生下時より肺動脈弁狭窄症を指摘されていたが, 圧較差が137mmHgに増大したため, 2回の balloon valvuloplasty を施行されたが, 63mmHgの圧較差が残った. 右室造影像では著明に肥厚した可動性のない filling defect とその中枢側に薄い弁尖を認め, 弁上狭窄と pulmonary valve dysplasia が疑われた. 完全体外循環, 心拍動下に肺動脈を切開すると, 狭窄の主体は肺動脈弁の弁縁に限局した dysplasia であった. 弁縁の部分切除のみで狭窄は解除され, 弁尖も大部分温存することができたため, 術後に肺動脈弁閉鎖不全を認めなかった. 弁縁部のみの dysplasia の症例はまれであるので報告した.