1995 年 24 巻 6 号 p. 395-397
前胸部痛・ショックを主訴とした34歳男性に対しAAEおよび急性大動脈解離破裂の診断にて緊急手術を行った. 解離は大動脈基部に限局し, 右冠状動脈はほぼ全周に近く解離が及んでいたが, 末梢側には離断を認めなかったため冠状動脈入口部の再建を行った. 手術は composite graft を用いて大動脈基部置換術を行ったが, 冠状動脈口の吻合に際して独自の工夫を加え冠血行再建をより確実なものとした. 急性解離における冠血行再建法を中心に, 今回のわれわれの方法について文献的考察を加え報告する.