日本心臓血管外科学会雑誌
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稀な形態を有する非定型三心房心の1例
中野 雅道黒澤 博身宮本 尚樹石井 信一長堀 隆一清水 昭吾
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1996 年 25 巻 1 号 p. 56-58

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抄録

三心房心は心房が線維筋性の異常隔壁で副腔と真腔に二分されている稀な心奇形で, 一般的には左房が二分される左室三心房心を指す. 定型例では左房が隔壁により肺静脈の還流する副腔と, 左心耳を有し僧帽弁に連なる固有左房 (真腔) とに分割された先天性心疾患と定義される. 本症の発生機転については多くの仮説が提唱されているが, いずれの説も非定型例や背反例が報告されすべての症例を説明するには不十分であり, 単一の仮説では説明できない複雑な発生過程の異常が関与していると考えられる. 今回, 3本の肺静脈が還流し静脈洞型心房中隔欠損 (ASD) で右房と交通する副腔と, 右下肺静脈が還流し卵円孔開存 (PFO) で右房と交通する真腔を持ち, 肺高血圧症を呈した極めて珍しい非定型的三心房心の1例を経験したので報告した.

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