日本心臓血管外科学会雑誌
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重複大動脈弓手術における術後管理上の問題点
心内奇形および気管軟化症合併例について
柴田 芳樹阿部 忠昭栗林 良正関根 智之相田 弘秋関 啓二
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1996 年 25 巻 6 号 p. 371-376

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抄録

乳幼児期に呼吸器症状にて発症した重複大動脈弓3症例に対し, 大動脈弓離断術を施行した. 2例が気管軟化症を, 全例に心内奇形を合併していた. これが原因で3例ともに術後の長期呼吸管理を要した. 1例は残存するVSD+PHによる心不全, 呼吸不全のために第49病日にVSD閉鎖を必要とした. われわれの経験した気管軟化症合併例はいずれも保存的治療にて抜管可能であった. 気管軟化症に対する外科治療としては Aortopexy, Splinting, ステントなどが試みられているが, 決定的な術式はないのが現実であり, われわれは積極的に同時手術を行ってはいない. しかし, 血管輪解除術後にも呼吸器症状が改善しない症例では症状の主たる原因が何に起因するのかを見極め, 適切な治療方針をたてる必要がある.

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