日本心臓血管外科学会雑誌
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LVEF6%の低左心機能症例に対する人工心肺を用いない心拍動下冠血行再建術
杭ノ瀬 昌彦種本 和雄金岡 祐司
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1996 年 25 巻 6 号 p. 402-405

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抄録

虚血性の高度低左心機能 (心プールシンチで左室駆出率6.2%, 心エコーでLVDd=74mm, LVDs=71mm, %FS=10%) 症例に対し, 人工心肺を用いない心拍動下冠状動脈バイパス術を施行し, 良好な結果を得た1例を経験した. 症例は67歳, 男性で4年前に心筋梗塞を発症. 今回入院時の冠状動脈造影検査にて右冠状動脈の完全閉塞を含む重症3枝病変と診断. 通常の手術では人工心肺よりの離脱が困難となる可能性が高いと考え, 唯一心筋 viability が残されている右冠状動脈領域に心拍動下CABG (右胃大網動脈-右冠状動脈) を施行した. 術後心不全症状は著明に改善し, 軽快退院した. 自験例は欧米では心臓移植も考慮されるべき重症例と考えられ, 虚血性低左心機能に対する治療法として有用であると考えられた.

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