日本心臓血管外科学会雑誌
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初回手術時および再手術時に周術期冠攀縮を反復した僧帽弁膜症の1例
柴田 隆一郎高木 正剛宮川 尚孝山内 秀人橋谷田 博野口 学多田 誠一釘宮 敏定
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1997 年 26 巻 4 号 p. 271-274

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抄録
冠動脈に有意病変を有しない僧帽弁膜症患者で, 初回手術時, 再手術時の2回にわたり高度の術中冠攀縮を発生したまれな1例を経験した. 患者は56歳女性. 7年前 (49歳時) の僧帽弁交連切開術の際にも術中に強い冠攀縮をきたし, IABP駆動下にようやく救命できた. 再手術時には, 麻酔導入時から心電図上STの高度上昇を伴う徐脈と低血圧の発作が頻回に生じ, ニトログリセリン静注も効果が少なく, そのまま体外循環に移行して僧帽弁置換術を施行した. 人工心肺離脱後も冠攀縮発作が頻発したが, ニトログリセリン, ノルエピネフリン, IABPなどの併用により救命できた. 術中術後の全経過を通じて心筋逸脱酵素の上昇を認めなかった.
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