症例は50歳の男性で, ベーチェット病の診断後, 上行大動脈拡張および大動脈弁閉鎖不全症をきたし Bentall 手術を施行. 術後経過観察中に胸部近位下行および胸部下行に計3個の嚢状動脈瘤を生じたため, 血管内治療の一つであるステントグラフト内挿術を施行し, 瘤内血栓化および減圧に成功した. 本疾患に対する外科手術は術後の人工血管縫合不全や吻合部仮性瘤の発生などその治療成績は不良であることから, 手術侵襲が低く, 吻合が不要という利点をもつステントグラフト治療は有用性が高いことが示唆された. 今後さらに長期にわたる経過観察が必要である.