1998 年 27 巻 6 号 p. 376-379
大動脈弁二尖弁に巨大非破裂バルサルバ洞動脈瘤を合併した稀な症例を経験した. 症例は47歳, 男性. 小児期より弁膜症を指摘されていたが精査は受けておらず, 最近生じてきた嚥下時の違和感により受診した. 検査の結果, 心右側に突出した70×70mm大の巨大非破裂バルサルバ洞動脈瘤と高度の大動脈弁閉鎖不全および狭窄を認めた. 術中所見で弁尖の硬化を伴った大動脈弁二尖弁を認め, 上行大動脈最大径は42mmと拡張しており, modified Bentall 手術 (Carrel patch 法) を行った. 病理所見は硬化性病変が主体で一部に中膜の変性を認めた.