日本心臓血管外科学会雑誌
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抗薬剤抗体陽性を示した冠動脈バイパスの1例
尾崎 喜就脇田 昇志田 力
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1999 年 28 巻 5 号 p. 324-326

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抄録

抗薬剤抗体陽性のため他家血輸血が不可能な狭心症例に対し, 自己血輸血を行うことにより冠動脈バイパスを安全に行えたので報告する. 症例は62歳, 女性で, 狭心症のため当院に入院した. 精査の結果3枝病変と診断されたが, 術前の不規則抗体スクリーニングにて抗薬剤抗体および抗P1抗体 (冷式抗体) 陽性となり, 予約血すべてとの交差適合試験で不適合と判定された. 貧血があったため手術を延期し, エリスロポエチンを併用しながら自己血を800ml採血後手術を行った. 手術は左冠動脈前下行枝および回旋枝へ大伏在静脈を用いて2枝バイパスとした. 総出血量は580gであった. 術後ヘモグロビンは7~10g/dlで経過し, 溶血性貧血等の重篤な合併症もなく無輸血で順調に経過した.

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