抄録
下肢閉塞性動脈疾患の重症度評価法として, Duplex scan を用い, 末梢動脈の血流速度, 流速波形を測定し, 血行再建術前後の改善度, および長期開存性の指標とすることを目的とした. さらに, 下肢/上肢血流速度・血流量比 (AVI, AFI) を測定し, APIならびに臨床症状と比較検討した. 流速波形を4型に分類し, 血行再建術の前後で, 末梢動脈の流速波形を測定したところ, 術後に流速波形の改善が認められた. APIと下肢/上肢血流速度比 (AVI) では一応の相関が認められたが, APIが0.7以上であるにもかかわらず, AVIが0.5以下であったものは, 4肢に認められた. これらの症例は, 動脈硬化が強く, 壁の石灰化を認めた症例で, このような症例では臨床症状や, 血流速度に比べ, APIが高く測定されることがいえる. AVI・AFIを Fontaine 分類別に比較してみると, それぞれの群に有意差を認め, 症状が強くなるほどAVI・AFIの減少が認められた. 血行再建術を施行した20肢で術前, 術後でのAVI, AFIを比較したところAVI, AFIともに術後に有意に改善が認められた.