日本心臓血管外科学会雑誌
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Vein graft disease 発症におけるマクロファージの関与について
小林 俊也幕内 晴朗成瀬 好洋後藤 昌弘田中 慶太有村 康夫葛 仁猛
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2000 年 29 巻 5 号 p. 295-298

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抄録

冠状動脈バイパス術 (CABG) 後遠隔期の大伏在静脈グラフト (SVG) の問題点である vein graft disease 発症におけるマクロファージの関与について検討した. CABG施行時に採取した移植前SVG3本, および術後遠隔期の患者から採取したSVG6本 (早期閉塞SVG3本, 遠隔期SVG3本) に対し, マクロファージのモノクローナル抗体を用いて免疫組織染色を行い検討した結果, 移植前のSVGにマクロファージの存在は認められず, 早期閉塞SVGでは内膜表層にマクロファージの集積が, また遠隔期SVGでは粥状硬化組織内にマクロファージの著明な集積が認められた. 動脈硬化性病変の発生進展過程においては, その初期の段階における血管内皮細胞の障害とそれに伴う単球/マクロファージの関与が重要と考えられている. CABG後のSVGにおいては, 術後早期に内皮細胞障害によりマクロファージが内膜中に侵入し, これが遠隔期における粥状硬化性病変形成の素地となっているものと考えられた.

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