2000 年 29 巻 5 号 p. 315-319
心筋虚血・再灌流障害の一因である活性酸素の scavenger として, レシチン化SOD (lecithinized superoxide dismutase) の心筋保護効果を検討した. 対象をI群 (n=5): 未治療群, II群 (n=5): レシチン化SOD再灌流時投与群, III群 (n=5): レシチン化SOD再灌流10分後投与群, の三群に分けラット摘出心血液灌流モデルで30分間の常温単純虚血・再灌流を行った. レシチン化SODはII群, III群とも3,000単位を投与した. 左心機能の指標として developed pressure (DP), Max dp/dt, Max (-dp/dt) を測定し, 虚血前値に対する割合で比較した. %DP, %Max dp/dt, %Max (-dp/dt) のいずれの指標においてもII群が他の群に比べ有意に高値を示した. このことから, レシチン化SODの再灌流時投与により心収縮能および拡張能が良好に保たれることがわかった.