日本心臓血管外科学会雑誌
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大動脈弁置換術後症例の遠隔期における血漿 brain natriuretic peptide (BNP) 濃度の検討
藤永 一弥小野田 幸治金光 真治高林 新陸 軍島本 亮下野 高嗣田中 國義新保 秀人矢田 公
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2000 年 29 巻 5 号 p. 320-325

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抄録

AVRおよびDVR後1年以上経過した53例を対象に, 術後遠隔期の brain natriuretic peptide (BNP) を測定し, 血漿BNP値と心機能との相関および予後または推定因子となり得るかを検討した. 症例はNYHAII度1例以外すべてI度で, I度の症例中82.7%にBNP値の異常を認めた. AS, AR症例ともEFとBNPは負の相関関係を認め (r=-0.460, p<0.05; r=-0.529, p<0.01), AR症例でLVMI, LVDdはBNPと正の相関関係を認めた (r=-0.469, p<0.05; r=0.680, p<0.0001). またNYHAI度であった3例に経過観察中, 心不全を認めた. これらは心不全の前よりBNPは高値 (>80pg/ml) であった. しかしBNP高値症例にもEF, LVDdともに正常な症例も認めた. 以上より, BNP高値症例は心不全予備群の可能性があり, BNPは術後心不全のマーカー, ひいては予後または推定因子となる可能性が考えられた.

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