抄録
Bentall 手術後, 16年以上経過して発生した吻合部離開に対して再手術を行い良好な成績を得たので報告する. 症例は50歳男性. 19年前に大動脈弁輪拡張症に対して他院にて Bentall 手術を受け, 3年前に胸部下行大動脈瘤に対して, 当院にて胸部下行大動脈置換術を受けた. その後 Bentall 手術の遠位側吻合部と両冠動脈口吻合部の離開を伴う, 上行大動脈瘤および遠位弓部大動脈瘤を認め, 再大動脈基部置換術および弓部大動脈置換術を施行した. 文献上検索し得る限りでは Bentall 手術後16年から19年と最も晩期に発症した吻合部離開であり, Bentall 手術後の長期経過観察の必要性が示唆された.