日本心臓血管外科学会雑誌
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70歳以上胸部・胸腹部大血管手術の遠隔成績とQOLの検討
米須 功有永 康一中島 淳博戸嶋 良博木村 聡石原 健次川内 義人
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2001 年 30 巻 4 号 p. 177-181

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抄録
胸部大血管手術を術後QOLを中心に検討した. 1994年8月から1999年6月までの連続した胸部・胸腹部大血管手術93例を対象とした. 遠隔期QOLは麻野井の方法に基づき, その結果を70歳未満群, 70歳以上群に分け比較検討した. アンケートの回収率は95.7%, 術後平均観察期間は23.1カ月であった. 男性65例, 女性28例, 平均年齢63.8 (26~84) 歳. 待機手術45例, 緊急手術48例. 病院死亡は13例 (14%) で, 遠隔期死亡は10例 (5.6%/P-Y (Patients-Years)) であった. Kaplan-Meier 法で求めた生存率は, 70歳以上群は70歳未満群より有意に低かった. 周術期脳梗塞合併症例は, 入院中および遠隔期に高率に死亡し, 生存例も麻痺を残す症例では著しくQOLが低下していた. 運動能力 (METS) は, 70歳以上群が70歳未満群より有意に高かった. 手術に対する満足度, 元気度とも88%以上の患者から術前と「変わらない」以上の回答を得た. これより, 70歳以上高齢者でも術中脳梗塞を起こさず周術期を乗り越えれば遠隔期には良好なQOLが得られることがわかった.
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