日本心臓血管外科学会雑誌
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右肺癌合併胸部下行大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術の経験
杉本 努高橋 俊樹箕輪 隆塩野 知志大泉 弘幸渡辺 隆夫島崎 靖久
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2001 年 30 巻 4 号 p. 210-212

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抄録

75歳, 女性の右肺癌 (IA) 合併胸部下行大動脈瘤に対して, 肺癌手術に先行させて局所麻酔下に胸部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術 (Dacron sheet で被覆した自己拡張型の spiral Z stent) を行った. 造影上 endoleak は認めず瘤は消失した. 肺癌合併胸部大動脈瘤では癌の根治性から同時手術が望ましいと考えられるが, 本例のような高齢者右肺癌合併例の場合, 同時手術はもちろん, 二期的手術を選択しても両側開胸に伴う手術リスクの増大が危惧される. ステントグラフト内挿術は呼吸機能低下や手術操作, 全身麻酔, 輸血などに伴う免疫能低下を懸念する必要がなく, 癌進行の点からも有利に早期の二期的肺癌手術を設定することが可能であった.

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