2002 年 31 巻 4 号 p. 317-319
症例は88歳女性.急性心筋梗塞にて緊急入院した.心臓超音波検査にて心室中隔穿孔の合併を認めたため,大動脈内バルーンパンピングを挿入した.右心カテーテルにて肺体血流比は3.0であった.その後急性腎不全を併発し,持続的血液透析濾過を開始した.循環動態が徐々に悪化してきたため,第6病日に緊急手術を施行した.手術は牛心膜パッチを用いて中隔穿孔部を閉鎖し,左室切開部はそのパッチを含め2枚のフェルトにて縫合閉鎖した.術後は心不全,呼吸不全,腎不全などの合併症を併発したが,ベッドサイド歩行が可能となった術後77日目に,リハビリ目的で他院に転院した.本症例はわれわれが調べえた限りでは心室中隔穿孔の手術成功例として本邦最高齢であった.