2004 年 33 巻 1 号 p. 45-49
非穿通性鈍的外傷による弁損傷4例を経験した.年齢は24~72歳で,男性3例,女性1例であった.いずれも胸部打撲の既往を有し,受傷から手術までの期間は,4時間が1例,6ヵ月以上が3例であった.損傷形態は,大動脈弁閉鎖不全の2例で弁尖損傷,僧帽弁閉鎖不全の1例で乳頭筋断裂,三尖弁閉鎖不全の1例では腱索断裂であった.大動脈弁閉鎖不全の2例,僧帽弁閉鎖不全の1例に対して人工弁置換術,三尖弁閉鎖不全の1例に対しては弁形成術を行った.全症例とも術後経過は良好で軽快退院した.心外傷を疑われる症例では,早期から心臓超音波検査などを用いて注意深い観察が必要であると思われた.