34 巻 (2005) 6 号 p. 401-405
近年,急性期深部静脈血栓症に対するカテーテル血栓溶解療法(CDT)や血栓吸引療法を含めた血管内治療の有効性が報告されている.今回,2003年1月より2004年8月までに当科で経験した深部静脈血栓症のうち,血管内治療を行った20例について検討した.血管内治療の適応は,発症から2週間以内,腸骨大腿静脈血栓閉塞型の深部静脈血栓症を対象とした.内訳は男性11例,女性9例,平均年齢56.4(30~78)歳,発症からの治療開始までの期間は平均4.4(1~12)日であった.血栓存在部位は左側15例,右側5例であり,血栓が存在する最も中枢側の静脈は下大静脈5例,腸骨13例,大腿2例であった.一時型下大静脈フィルターを留置したのちに,膝窩静脈よりシース挿入,カテーテルは多孔式を用い,ウロキナーゼは24万単位を1日量としてdrip infusion法と1日3~5回のpulse-spray法を併用とした.抗凝固療法はヘパリンを使用し,また,間欠的マッサージ(IPC)で患肢血流うっ滞を予防した.再造影にて血栓が残存する場合には機械的血栓吸引療法を施行し,iliac vein compression syndrome (IVCS)や器質化血栓に対しては金属ステントを留置した.治療前後の静脈造影にてvenographic severity score(VSスコア)と四肢周囲径にて治療効果判定とした.治療期間は5.0±0.28(2~9)日,総ウロキナーゼ使用量は102.5±5.7(36~168)万単位であった.総腸骨静脈にIVCSで1例,器質化血栓に対して2例に金属ステントを留置した.治療中2例に一時下大静脈フィルター内に血栓を捕捉したことが確認されたが,肺塞栓症は認めなかった.血栓性素因は2例に認められ,1例に抗リン脂質抗体症候群,もう1例にプロテインS欠乏症がみられた.早期再発を1例に認め,再度血管内治療を要した.VSスコアは術前26.2±6.3から治療後6.2±2.5と有意に(p<0.0001)低下した.急性期深部静脈血栓症に対して血管内治療は有効であり,満足しうる結果であると思われた.