日本心臓血管外科学会雑誌
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80歳以上の高齢者に対する胸部大動脈緊急手術の妥当性の検討
山本 正樹村山 博和鬼頭 浩之松尾 浩三林田 直樹浅野 宗一平野 雅生龍野 勝彦
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2006 年 35 巻 5 号 p. 255-260

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抄録

1994年1月から2004年10月までに経験した80歳以上の高齢者群(O群)11例と80歳未満の若年者群(Y群)76例の胸部大血管緊急手術症例を比較検討した(以下,O群:Y群で記載).診断はA型大動脈解離(6例:52例),B型大動脈解離(0例:5例),胸部大動脈瘤破裂(4例:17例),その他(1例:2例)であった.術式,手術時間,体外循環時間,心停止時間に有意差なく,死亡率27.2%:19.7%,術後合併症は,循環不全27.3%:22.4%,呼吸不全27.3%:25.0%,脳梗塞18.2%:14.5%と両群間に有意差はなかった.中期生存率は1年100%:98.3%,2年83.3%:95.1%であった.術前後のADL(activity of daily life)はBarthel indexにより評価し,各群の75%,90%が術前と同程度のADLを回復した.本検討では高齢者に対する胸部大血管緊急手術例の手術成績,中期成績および術後ADLは満足のいく結果であった.

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