日本心臓血管外科学会雑誌
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多剤耐性緑膿菌感染を伴った膀胱全摘術後大動脈尿管瘻の1例
松崎 賢司椎谷 紀彦山下 知剛国原 孝
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2006 年 35 巻 5 号 p. 275-277

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抄録

症例は77歳,男性.膀胱癌に対し10ヵ月前に膀胱全摘,両側尿管皮膚瘻造設術施行.某泌尿器科病院で外来通院中であったが,左尿管カテーテル交換時に動脈性の出血を反復し,腹部CTで10ヵ月前にはみられなかった腹部大動脈瘤,両側総腸骨動脈瘤が認められた.左総腸骨動脈尿管瘻,および感染性動脈瘤を疑われ,当科に紹介となった.術前の尿培養で多剤耐性緑膿菌が検出された.人工血管の感染巣内走行をすこしでも避けるため,Yグラフト両脚を右内外腸骨動脈に吻合し,人工血管を大網で被覆,左下肢は開腹に先立ち確立した大腿-大腿動脈バイパスで血行再建した.尿路再建は尿管を切除し左腎瘻を造設した.術中の瘤壁,壁在血栓の培養からも多剤耐性緑膿菌が検出されたが術後経過は感染兆候なく良好であった.

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