日本心臓血管外科学会雑誌
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開心術後悪性症候群の1例
篠原 玄白鳥 一明
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キーワード: 悪性症候群, 心臓手術
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2006 年 35 巻 5 号 p. 299-303

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抄録
症例は57歳,男性.大動脈基部置換術後第10病日ハロペリドール使用後から39℃台の高熱と横紋筋融解症が出現し,呼吸,循環動態の悪化にいたった.診断に苦慮し精神科医の診察を経て悪性症候群(NMS)不全型の診断のもと,第17病日よりダントロレン投与を開始した.ダントロレン使用後速やかなCKの低下をみた.NMSは強い全身状態の悪化をひき起こすため,とくに心臓手術周術期においては早期診断,治療の開始が望ましい.原因薬剤をはじめ起こりやすい状況の認識のうえで,筋強剛や精神症状といった早期段階の症状に注意すること,そして疑われれば速やかに他科の介入のもと薬物治療を検討することが重要と思われた.また,人工弁置換術後の場合は人工弁感染(PVE)との鑑別が問題となり,熱型,炎症反応などが鑑別に重要な所見と思われた.
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