日本心臓血管外科学会雑誌
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拡張相肥大型心筋症による難治性心室頻拍に対し心筋切除術が著効した1例
泉 賢太江石 清行橋詰 浩二多田 誠一山根 健太郎高井 秀明谷川 和好三浦 崇中路 俊
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2007 年 36 巻 4 号 p. 184-187

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抄録

症例は63歳,男性.20年前より肥大型心筋症(HCM)として加療されていた.2年前より,抗不整脈薬投与にもかかわらず心室頻拍(VT)をくり返し,ICD (implantable cardioverter defibrillator)植込み術を施行した.また,拡張相肥大型心筋症の病態を呈していた.その後もVTをくり返しICDが頻回に作動した.薬剤抵抗性であり,アブレーションを行うため,EPS (electrophysiological study)を施行した.CARTO system (electroanatomical mapping system)によるactivation mapでは,VTは左室後側壁の一部を最早期興奮部位として周囲に広がった.心内膜下からの計2回のアブレーションでもVTは停止せず,起源は心外膜側のリエントリーと考えられ,左室後側壁部分切除術を施行した.術後,VTの出現はなくなった.心外膜側起源と考えられた拡張相肥大型心筋症による薬剤抵抗性のVTに心筋切除が著効した症例を経験したので報告する.

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