日本心臓血管外科学会雑誌
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胸部大動脈から下肢への非解剖学的バイパス手術を施行した9例の検討
佐々木 昭彦中島 慎治藤井 明宮島 正博
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2007 年 36 巻 4 号 p. 225-227

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抄録

2001年1月から2006年9月までに,腹部大動脈の全周性の石灰化を伴った大動脈腸骨動脈閉塞症(AIOD)の患者4例(透析患者2例含む)と高位大動脈閉塞症(HAO)の5例に対して,胸部大動脈(上行大動脈8例および下行大動脈1例)から両側大腿動脈へ非解剖学的バイパス手術を施行した.年齢は46~80歳,平均69歳,男6例,女3例で,HAOの2例は急性閉塞で,うち1例は下肢の麻痺を伴っていた.AIODの2例はsmall aorta syndromeを示した.手術時間は平均2時間25分で出血はほとんどなかった.腹膜透析患者のAIODの1例をCAPDチューブによる腹膜炎併発のため術後2週目に失ったが,そのほかは生存,HAOの下肢の麻痺も術後改善した.術後3例に人工血管そのものの合併症であるperigraft seromaを合併した.人工血管の開存率は術後2年で100%と良好であった.

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