日本心臓血管外科学会雑誌
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医原性大腿仮性動脈瘤に対する超音波ガイド下トロンビン注入療法の経験
横川 雅康
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2007 年 36 巻 6 号 p. 356-360

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抄録

医原性仮性動脈瘤に対しては,これまで外科的修復術や超音波プローブによる圧迫といった治療が行われてきた.しかしこれらの治療法には,手術侵襲,治療中の不快感や再発といった難点があった.今回報告する超音波ガイド下トロンビン注入療法は短時間に治療が終了し,また,副作用や患者の不快感もほとんどなく,再発率も低いなどの長所を有するとされている.カテーテル操作後の医原性大腿仮性動脈瘤3例に対し超音波ガイド下トロンビン注入療法を試みた.カテーテルサイズはそれぞれ6Fr,8Fr,11.5Frで,2例は抗凝固療法施行中であった.発症から治療までの期間は1~42日であった.いずれも超音波ガイド下に経皮的穿刺でヒトトロンビンを注入した.2例は1回の治療で治癒し再発を認めなかったが,1例は再発をくり返し最終的に外科的修復術を必要とした.末梢動脈塞栓やトロンビンに起因するアレルギーなど手技に伴う合併症は認めなかった.カテーテル操作後に生じた大腿仮性動脈瘤に対し超音波ガイド下トロンビン注入療法は最初に試みてよい治療法と考えられた.

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