日本栄養士会雑誌
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農業高校生徒の提供した給食だよりによる小中学生の給食に関する態度・行動への影響
石川 みどり久保田 のぞみ大久保 美幸半田 美知
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2008 年 51 巻 11 号 p. 1132-1142

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抄録

北海道N 市の食育プログラムにて、農業高校生徒(以下、高校生)の生産物を活用した給食が提供され、かつ、高校生が作成した給食だよりが小中学校に掲示された。本研究の目的は、小中学生が高校生の給食だよりを読むことによる、その給食に関する態度・行動への影響を明らかにすることである。 1)高校生は生産から小中学生が給食を喫食するまでの過程を理論学習と実践学習により学んだ後、生産したトマト・卵を給食に提供し、給食だよりを作成して学校に掲示した。学習内容は、トマト・卵の生産過程、成分や栄養、食材から給食になるまで、給食の栄養バランスである。2)評価は、小学5・6 年生と中学1 年生を対象に、「高校生の給食だよりを読んだか」、「給食がおいしかったか」、「全部食べたか」、「家族・友達と高校生の給食だよりについて話したか」等で、自記式質問紙調査を行った。解析は、高校生の給食だよりを読んだこととその他の項目との関連を検討した。 400 名が回答した。高校生の給食だよりを「とても・まあまあ読んだ」者は小学生67%、中学生56% であり、普段の給食だよりでは読む者が少なかった生産過程、成分や栄養、流通、給食の栄養バランスについて読んだ者の割合が増えた。高校生の給食だよりを読んだことは、小学生では「給食を全部食べた」、「家でも食べたい」、「家族と話した」に、中学生では「家でも食べたい」に強く影響していた。その因果関係を検討した結果、小中学生ともに「給食だよりを読んだ」から「給食を全部食べた」へ、また「友達と話した」を経て「家族と話した」への有意な経路が確認された。よって、小中学生が高校生の給食だよりを読んだことは「全部食べる」、「友達や家族と話す」等、給食に関する態度・行動に影響を与えたことが確認された。

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