2019 年 62 巻 5 号 p. 255-263
奈良県にある重症心身障害児・者施設では、摂食・嚥下障害者への食事として、常食に近い見た目で提供し、食べる直前にスプーンやフォークの背で押しつぶして食べやすくする「押しつぶし食」を提供している。本研究では、押しつぶしにより嚥下食としての適性が変化するのかを知るために、7種類の食材(白身魚ムース、エビムース、小松菜、白菜、人参、大根、絹ごし豆腐)を用いた押しつぶし食の物性測定、「特別用途食品嚥下困難者用食品の許可基準」、「日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013」、「嚥下食ピラミッド」による評価を行った。その結果、どの料理も押しつぶし後の形態は摂食・嚥下障害者に適するものであることが確認された。以上より、食材別に押しつぶしの有用性を見出すことができた。