抄録
通信教育は、「いつでも」「誰でも」「どこでも」学ぶことができるという特長を持つ。しかしながら、通信制高校においては、入学希望者の居住地によって、入学を拒否せざるを得ない現状がある。
本稿では、こうした入学制限が生じる背景として、「通信教育を行う区域」を学則に記載しなければならないとする学校教育法施行規則4条2項1号の規定が存在することを指摘した。その上で、具体的なケースの検討を通じながら、通信制高校が「通信教育を行う区域」に関する学則変更をしようとしても、所轄庁の認可が下りないために困難に陥る場合がある実態を指摘し、その結果、生徒の教育機会が奪われかねないことを明らかにした。
そして、上記入学制限を見直すための方策として、1広域通信制の定義を削除する方法、2広域通信制の定義を変更する方法、3「通信教育を行う区域」に関する学則変更の認可を不要とする方法、4「通信教育を行う区域」に関する学則変更の認可を弾力化する方法、といった4つの例を挙げながら、それぞれの方策に応じてどのような法令改正を経る必要があるのかを具体的に示しつつ、在るべき姿の実現に向けて考察を行った。