抄録
本稿は、成人生徒における公立通信制高校での学び直しの実態を明らかにし、公立通信制高校の現状と課題を考察することを目的に、Z県にある公立A 高校通信制の教員4名の聞き取り調査を実施した。その結果、時間や縛りが緩い通信制高校の利点を活かし、受講届(履修届)を提出している成人生徒は、高校を卒業したいという目的意識を持ち、計画的・意欲的に学習に取り組む生徒が多く、順調に卒業していく傾向にあった。一方では、仕事や家事で信制高校の学習が進まない生徒や毎年休学届を学校に提出し、在籍のみになっている生徒が一定数いた。聞き取り調査を踏まえて、公立通信制高校は、高校卒業を諦めてしまった成人生徒が、高校卒業資格を取得することのできる貴重な教育機関であるといえる。一方、成人生徒にとっての公立通信制高校の課題は、義務教育で身につけるべき学習内容を高校教育の中で学び直すことが難しい点が挙げられる。それに対して、インターネットのメディアを活用した基礎教育の学び直しを提案した。また、再入学手続きの煩雑さの改善やスクールソーシャルワーカーと学校との連携を通して、生徒に積極的に関与することの必要性について考察した。