2021 年 26 巻 2 号 p. 50-54
【背景】災害時の食物アレルギー患者は平時以上に食料確保が困難となる。東日本大震災のような大災害では、公助の役割は小さくない。自治体が防災で処理する業務は、各自治体で作成された地域防災計画を基本に定められている。【目的】地域防災計画で食物アレルギー疾患対策が十分に定められているか検討すること。【対象】都道府県・都道府県庁所在地・政令指定都市を合わせた99自治体の地域防災計画【結果(計画記載のある割合)】家庭内アレルギー除去食品備蓄の推進:18%、避難所内の除去食品備蓄:38%、アレルギー用ミルクの備蓄:9%、除去食品の流通備蓄:6%、炊き出しの配慮:17%、除去食品の分配計画:0%、栄養指導:6%。アレルギー疾患の記載は改定年度別では2016年度以前は45%、2018年度以降は63%と増加傾向だった。【考察】地域防災計画で食物アレルギー疾患対策は十分に定められていないと考えられた。【結語】今後も学会を中心に政府や自治体に働きかけていく必要がある。