日本災害医学会雑誌
Online ISSN : 2434-4214
Print ISSN : 2189-4035
原著論文
熊本地震5年後における被災就労者の精神的健康の経時的変化
古賀 佳代子 木村 裕美池田 智西尾 美登里久木原 博子
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2023 年 28 巻 1 号 p. 28-37

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抄録

【目的】震災後の精神的健康に関する研究として縦断研究は少ない。本研究では、熊本地震5年経過した時点で、被災就労者を対象に精神的健康状態の経時的変化について明らかにする。【方法】震度7を観測した被災地域である益城町に調査依頼した。調査を4回(半年後、1年後、3年後、5年後)実施し、3回以上の回答者111名を対象とした。【結果】熊本地震5年間の就労者の精神的健康状態は、震災3年後においてGHQ28総得点および下位尺度の身体症状とうつ傾向、AIS得点、主観的健康感で最も悪化がみられた。また、PTSD発症者は5年経過しても1割の者にみられた。【考察】震災3年後の精神的影響は、住宅再建の見通しが立たないことや、引っ越しなどによる住環境・近隣との関係性の変化による孤立が影響していると考える。震災前から職場でのコミュニティや相談相手の存在が健康被害の悪化を防ぐ可能性があると示唆を得ることができた。

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