2024 年 29 巻 2 号 p. 95-103
【背景】災害時に災害拠点病院の事務職員が従事した業務に関する詳細な資料は見当たらない。【目的】東日本大震災時に災害拠点病院の事務職員が従事した業務を明らかにする。【方法】質問紙調査(横断研究)ならびに面接調査。【対象】岩手県・宮城県・福島県にある災害拠点病院の事務職員。【結果】平常時には従事しない65項目の災害時の業務が認められた。また、平常業務は全体の30%程度に縮小され、段階的に平常業務を復旧させていた。【考察】65項目の業務には、外部資源の活用、事前計画や教育の必要性が確認された。平常業務では、経営や労務管理など中断すべきではない業務が確認され事前計画の重要性が示唆された。【結語】本調査結果を現実的かつ実効性のあるBCP改訂の基礎資料とするとともに、医療機関の事務職員対象を対象とした災害時の平常業務のあり方や災害時の業務の遂行力強化を目的とした教育プログラム開発と教育機会が必要である。