歯科材料・器械
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原著
チオバルビツル酸誘導体を用いた常温重合開始剤に関する研究
門磨 義則今井 庸二
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1991 年 10 巻 5 号 p. 692-698

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抄録
チオバルビツル酸誘導体をジプロピルアミン塩酸塩(NPA), ジ-sec-ブチルアミン塩酸塩(SBA), ジ(2-エチルヘキシル)アミン塩酸塩(EHA)などのアミン塩酸塩と銅(II)アセチルアセトネート(CuAcAc)と組み合わせた常温重合開始剤システムの評価をトリエチレングリコールジメタクリレートモノマーを用いて行った.1, 3, 5-トリメチル-2-チオバルビツル酸(135MS)及び5-ブチルバルビツル酸(5B)は重合開始剤システムの還元剤として有効であったが, 他の誘導体ではあまり効果は認められなかった.135MS/EHA/CuAcAcの系は最も優れた重合開始能を示した.チオバルビツル酸誘導体が2, 2'-アゾビスイソブチロニトリルによるMMAの重合に及ぼす影響を検討した結果, 誘導期間が誘導体の種類により大きく変化しており, これらの化合物が重合反応に関与していることが示唆された.これらの影響は可視光線重合よりも常温重合において強く現れると考えられた.
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© 1991 一般社団法人 日本歯科理工学会
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