歯科材料・器械
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原著
歯質接着におけるフィチン酸とフッ化第1錫混合前処理剤の効果
平林 茂平澤 忠
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1995 年 14 巻 2 号 p. 240-246

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抄録
 我々は, すでに, リン酸基やカルボキシル基を有する機能性モノマーを含有する歯科用接着剤やグラスポリアルケノエートセメントの歯質接着における<フィチン酸 (PYA)-SnF2 >プライマーの有効性について報告している. しかし, このプライマーによる処理は, 二段階処理を必要とする. そこで, この処理ステップを簡略化するために, 10%のPYA水溶液とPYAに対して0.02〜0.5モル当量のSnF2を混合した4種の前処理剤を調製し, それらの効果を従来の<PYA-SnF2>プライマーと比較検討した. これら処理剤の効果は, Photo Bond®の牛歯象牙質およびエナメル質に対する接着強さ, および処理歯面のSEM観察により評価した.
 これら4種の歯質前処理剤で処理した象牙質およびエナメル質に対する接着強さは, 従来の<PYA-SnF2>プライマーに比較して低かった. 特に, エナメル質で顕著であった. これら一液処理剤の脱灰能は, SnF2の濃度の上昇とともに低下した. これら一液処理剤の場合, Sn2+イオンは溶液中ですでにPYAと反応してしまっており, その結果脱灰能の低下をきたしたものと思われた. そして, 生成したPYAとSn2+のキレート化合物は, 処理後の水洗により容易に洗い流されてしまい, 歯質表面には固定されないと考えられた. その結果, 一液処理剤の効果は, 二段階処理を行う<PYA-SnF2 >プライマーに比較して低下したものと推察される.
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© 1995 一般社団法人 日本歯科理工学会
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