抄録
3種類の歯冠用硬質レジン(MFTタイプコンポジットレジン)の耐久性を評価するために, 水, 乳酸, 塩酸, 水酸化ナトリウム, アセトン, エタノール, 大気などの種々の条件下に1週間および1ヵ月保管後の材料の硬さおよび引張強さの測定, 表面のSEM観察を行い, 以下の知見を得た.3種類の材料は, アセトン条件において最も大きな劣化を生じ, 次いでエタノール, アルカリ条件においても顕著な劣化を生じていたが, 酸条件および水の影響は小さかった.劣化を生じた条件下での材料の表面SEM像から, 有機複合フィラーとマトリックス界面に沿った亀裂が明瞭に観察された.材齢1ヵ月の試験片の硬さと引張強さには一次の相関関係が認められ, 小型直接引張試験と浸漬条件を組み合わせることにより, 1ヵ月程度でコンポジットレジンの耐久性を評価できることが認められた.